探偵×弁護士の本音対談_Vol.01

弁護士法人アドバンス:五十部紀英(いそべ としひで)氏

弁護士法人アドバンス:五十部紀英(いそべ としひで)氏

  • 代表弁護士・税理士・行政書士/申請取次行政書士
  • 第一東京弁護士会 No.38698
  • 東京税理士会 No.135888
  • 東京都行政書士会 No.17082121
  • 東京入国管理局届出済(東)行18第192号
  • http://advance-lpc.jp/introduce/lawyer_isobe
さくら幸子探偵事務所:姉崎一美(あねざき かずみ)

さくら幸子探偵事務所:姉崎一美(あねざき かずみ)

  • NPO法人日本家族問題相談連盟公認カウンセラー
  • 夫婦問題カウンセラー

アパレル・美容・健康産業を経て、パーソナルカウンセリングの必要性を追求する。のちに警察官であった父親の影響から、興信・探偵業に従事し、困りごとを抱える人の心に触れ、真実への探求心と人生に効くアドバイスが高評価を得る。潜入調査や内偵調査を得意とし、担当した案件数は10,000件以上。調査結果をもとに問題解決へ導く女性探偵カウンセラー

年間離婚件数は20万超!3組に1組が離婚

姉崎

最近は巷で不倫騒動をよく目にするようになりましたが、やはり離婚する人の数は増えているのでしょうか。

五十部

バブル崩壊後からの長引く不況、女性の社会進出、男女平等主義の浸透と相まって、2002年には年間離婚件数が過去最大の約29万件にのぼりました。

姉崎

2002年といえば、ちょうど『失楽園』ブームが起こった後ですね。 現在も離婚件数は年々増加しているのですか?

五十部

自公政権の小泉改革による景気回復後から、離婚件数は落ち着きを見せ始めました。しかし現在でも、統計上の離婚件数は年間20万件以上にのぼります。結婚した夫婦のうち、3組に1組が離婚していることになります。

姉崎

離婚する夫婦がこれほど多い理由は何なのでしょう。

五十部

SNSの発達により男女が気軽に出会えるようになったことで、不貞行為による離婚は増加傾向にあると思います。

姉崎

近年は週刊誌による芸能人の不倫報道も相次いでいますからね。

五十部

そういった報道によって、離婚やそれに伴う慰謝料に関する社会的関心が高まっていることも影響しているかもしれません。

離婚に関する慰謝料請求の事案も増加傾向に

姉崎が話している様子

姉崎

御所でも、離婚に関する慰謝料請求の相談は増えている印象ですか?

五十部

離婚件数が増えていますので、それに伴い慰謝料請求の相談に来る方も増えていると感じます。実際に、毎日複数件の相談が寄せられています。男性よりも、女性からの相談が非常に多いですね。

姉崎

実際に相談にいらっしゃるのはどんな方が多いのでしょう?

五十部

さまざまな方がいらっしゃいますが、年齢については20~40代、女性であれば主婦の方が多いです。最近は高齢離婚・熟年離婚が増えてきておりますが、実際の弁護士への相談件数は少ない気がします。家庭裁判所内の調停待合室でも、高齢の方はあまり見かけませんしね。おそらく高齢離婚・熟年離婚は、弁護士に相談せず双方の話し合いで解決するケースが多いのでしょう。

姉崎

離婚理由としては、どんなものが多いのですか?

五十部

圧倒的に多いのが不倫です。不倫以外では「性格の不一致」や「相手方による暴力(言葉の暴力も含む)」などがあげられます。民法770条1項では「配偶者から悪意で遺棄されたとき」「配偶者の生死が三年以上明らかでないとき」「配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき」が離婚事由として規定されておりますが、実務上はそのようなケースはほとんど目にしません。

慰謝料の相場は50~300万円

姉崎

離婚といえば慰謝料も大きな問題になりますが、近年の慰謝料の相場はどのくらいですか?

五十部

慰謝料の相場は50~300万円くらいですが、250万円を超えるケースはそこまで多くはありません。過去と比較して、慰謝料の相場が変化していることはないと思われます。ちなみに私の経験上、離婚に際する慰謝料で最も大きかった金額は500万円です。

姉崎

500万円にもなるケースがあるのですね!慰謝料はどのような計算で算出されるのでしょう。

五十部

慰謝料はさまざまな要素を考慮した上で算出されます。特に重要な要素となるのは、

  1. 夫婦関係が円満であったか否か(破綻関係にあったか否か)
  2. 不貞行為がどのくらい夫婦関係に影響を与えたか
  3. 不貞期間とその頻度
  4. 未成熟子の有無

などがあげられます。未成熟子とは“経済的に自立できていない子ども”のことで、成人年齢に達しているか否かは必ずしも関係しません。

姉崎

結婚歴の長さによっても、慰謝料が変わってくるとよく聞きますが…。

五十部

慰謝料は多様な要素を斟酌して算出されるため一概には言えませんが、一般的には結婚歴が長い方が慰謝料は増額し、結婚歴が短いと慰謝料の減額事由とされることがあります。

姉崎

長い、短いというのはどういった基準で判断するのでしょう。

五十部

裁判例においては15年程度を超えると「長い」、3年程度では「短い」と判断しているようです。また、未成熟子がいる場合は慰謝料は高額になりますが、子どもがすでに中学生や高校生である場合は、未成熟子がいない場合と比べてそれほど変化はないでしょう。

年収や資産金額も慰謝料の算出に関わる?

アドバンスの五十部氏が慰謝料について説明している様子

姉崎

それ以外にも、年収や資産金額も慰謝料の算出に関わりますよね。

五十部

年収や資産は慰謝料を算出するにあたって1つの要素にはなりますが、年収や資産が多いからといって、慰謝料が必ずしも高額になるとは限りません。慰謝料は精神的苦痛を被ったことに対する損害賠償請求ですから、あくまでも精神的苦痛の程度によって判断されます。

姉崎

年収や資産の額よりも、精神的苦痛の程度なのですね。

五十部

ただし年収や資産がないと、そもそも慰謝料が決定しても現実的に回収できないという問題が生じますから、ある程度重要な要素にはあたります。 年収や資産が多い方は、争いを早く終了させるために高額な慰謝料を支払うケースもあります。

姉崎

そういえば、慰謝料に税金はかかるのでしょうか。

五十部

慰謝料は損害賠償請求であり、失われたものを補填するものなので、受け取った側に所得税は課税されません。また慰謝料は贈与という性質を有しておりませんので、支払った側に贈与税も課税されません。原則的に税金は発生しませんが、慰謝料の金額が極めて高額な場合は所得税が課税される可能性があります。

慰謝料を決定する重要な証拠となるのは?

姉崎

不貞行為による慰謝料を請求する場合、証拠が非常に重要になってくると思います。実際に証拠となる調査報告書の内容によって、慰謝料の額は大幅に変わってきますか?

五十部

慰謝料を請求する場合、不貞行為があったことを説明する義務は慰謝料を請求する側にあります。不貞行為をしたことを示す証拠がなく、相手方が不貞行為がなかったと主張した場合、慰謝料額は最悪の場合「0円」になります。相手方から「不貞行為はないが心配をかけた」という意味で、「解決金」として数十万円支払われるケースはありますが…。

姉崎

やはり調査報告書の内容によって、慰謝料の額は大幅に変わってくるのですね。特に慰謝料を請求する側に有利となる調査報告書とは、どのようなものでしょう。

五十部

最も有利な調査報告書は、ラブホテルに出入りした写真です。この写真が証拠として提出された場合は、特段の事情がない限り不貞行為があったとみなされます。しかしこのような決定的な現場写真を撮ることは、準備やタイミングなど難しい部分もあるでしょうから、探偵会社を利用することが望ましいと思います。

まとめ

五十部

当所に相談に来る方は、必ずしも全員が離婚を望んでいるわけではありません。離婚を希望する方と希望しない方では、離婚を希望する方の方が多いですが…。しかし一定数ですが、離婚するかしないか迷っていたり、離婚せず円満な夫婦関係の修復を望んでいたりする方もいらっしゃいます。

姉崎

それは分かります。当社に訪れる依頼者様も、離婚の際に優位に立てる情報を欲しがっているというよりは、ほとんどが復縁を希望していたり離婚について迷っていたりする方々です。例えば配偶者の不貞行為の証拠をつかんだら、これを機に不貞行為をやめさせて関係を修復したいと願う人も多いのです。

五十部

そうなんですか、それは少し意外です。すべての人が「離婚する!」と決意した上で、弁護士や探偵事務所に足を運ぶわけではないのですね。

姉崎

つまり必ずしも離婚を希望していなくても、まずは相談してみるという選択肢もあるということですよね。

五十部

ええ、離婚や慰謝料に関する問題は、当事者の感情がぶつかり合うため当事者同士の話し合いでは解決が困難な問題です。冷静な決断・判断をするためにも、弁護士事務所に相談してみると良いかもしれません。

姉崎

仰る通りですね。本日はお忙しい中お時間ちょうだいし誠にありがとうございました。